10年愛してくれた君へ【続編】※おまけ更新中
「あらあらごめんなさい、私お邪魔よね?」
「え!?春兄ママ!?」
買い物袋二つが春兄の手から再び春兄ママに渡り、風のように去って行った。
その場に取り残された私たちの間には、しばらく無言が流れる。
怖くて春兄の顔を見ることができないでいた。つい最近意識し始めた恋人の営み。私たちはずっと先になると思っていたけれど、こうして目の前に突きつけられるとどうしたらいいかわからなくなる。
変に焦れば意識しているやつだと思われるし…
頭の中がぐちゃぐちゃで混乱していると、春兄は『歩こうか』と止めていた足を再び動かした。
少し後ろを歩くような形でついて行く。やがて時間的に人通りのない細道に差し掛かる。
ずっと沈黙を貫いていたが、変に黙っていても妙な雰囲気が漂うだけだと思って口を開いた。
「は、春兄ママってばとんでもないこと言うね!!そんなこと、考えてもなかったよね!!」
気持ちを悟られないように平静を装うが、ゆっくりと目を合わせてくる春兄の顔にはいつもの笑みはなかった。
「春兄…?」
「俺は…」
一度目を逸らし、再び目線が交わる。真剣な顔で私を見つめる春兄が何を考えているのか少しわかってしまい、堪らず下を向いた。
「俺は…考えてるよ。でも大事なことだから。大事にしたいから。藍の準備ができるまで待つつもり」
「え…」
「え!?春兄ママ!?」
買い物袋二つが春兄の手から再び春兄ママに渡り、風のように去って行った。
その場に取り残された私たちの間には、しばらく無言が流れる。
怖くて春兄の顔を見ることができないでいた。つい最近意識し始めた恋人の営み。私たちはずっと先になると思っていたけれど、こうして目の前に突きつけられるとどうしたらいいかわからなくなる。
変に焦れば意識しているやつだと思われるし…
頭の中がぐちゃぐちゃで混乱していると、春兄は『歩こうか』と止めていた足を再び動かした。
少し後ろを歩くような形でついて行く。やがて時間的に人通りのない細道に差し掛かる。
ずっと沈黙を貫いていたが、変に黙っていても妙な雰囲気が漂うだけだと思って口を開いた。
「は、春兄ママってばとんでもないこと言うね!!そんなこと、考えてもなかったよね!!」
気持ちを悟られないように平静を装うが、ゆっくりと目を合わせてくる春兄の顔にはいつもの笑みはなかった。
「春兄…?」
「俺は…」
一度目を逸らし、再び目線が交わる。真剣な顔で私を見つめる春兄が何を考えているのか少しわかってしまい、堪らず下を向いた。
「俺は…考えてるよ。でも大事なことだから。大事にしたいから。藍の準備ができるまで待つつもり」
「え…」