10年愛してくれた君へ【続編】※おまけ更新中
豪勢な夕食を食べ終え再び温泉に入った後、部屋に戻り布団を並べる。『一緒の布団で寝る?』なんて悪戯っぽく言う春兄の胸を軽く叩き、布団に潜り込んだ。
すると春兄は掛けていた布団を剥がし、私の頬をむにゅっとつねる。
「もう寝るの?」
「うぅ…満腹だし温泉入ったし眠くなっちゃったもん」
そう言うと、寝ている私の隣で横になり、唇にキスを落とす。浴衣からチラッと見える鎖骨と胸筋にドキッとした。
「俺、まだ藍が足りないよ」
「春兄…」
春兄が私を求めてくる時、いつもこんな艶やかな瞳で見つめる。そんな目をされたら嫌だなんて言えないよ。
-----…
綺麗に敷いたシーツもあっという間に乱れた。せっかく綺麗に着れた浴衣も剥がれ、私たちは天井を見つめる。
「…指輪、ずっとしてくれてるんだな」
私の手を持ち薬指で輝く指輪をじっと見る。これを貰ってから外したことは一度もない。これがあるだけで、春兄が守ってくれているような、そんな気がするんだ。
「当たり前だよ。すっごい大事なものだもん。そういう春兄だって指輪してるじゃん」
同じように春兄の手をとった。ゴツゴツした男らしい指でキラリと光っている。
「まぁな。大事なものだし」
「ふふっ。同じだね」
「そうだな」
布団の中で笑い合った。こんな幸せがいつまでもずっと続けばいいのに。
…そう思っていた。