umbra 〜約束の日〜












「いや。 俺もさっきずっと考えてたんだけど、前は違ったと思う。俺が初めて燐を怖いと思ったのはあの日からなんだ。」















「俺はさ、あいつは一般人じゃねぇと思う。来た時、一瞬俺らを見て僅かな殺気みたいなのが出てた。 あそこまでコントロールするのは無理だ。」














竜介は話すのが得意でない分、気配とか周りのことには人一倍敏感だ。竜介にそこまで言わせた燐。でも、燐にそんなこと出来るのか?














「でもさ、あいつ、燐は子供の頃、そこまでの才能があるとは正直思えないほどだったんだ。 稽古の時、父さんに何度怒られていたか。」














昔の話だ。だけど、数年でそこまで変われるわけじゃない。それなら、稽古の時にも変化が出るはずだ。あの時、俺は父さんに褒められたい一心でやっていたけど、全然褒められなくてガッカリしたのを燐に慰めて貰ったんだっけ。








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