中学生の私と女の子。
彼女は、勉強を教えてくれる訳ではない。

ただ、私が勉強を怠けそうになると…



バンッ!!!



と、『渇!』を入れるのだ。




しかし勉強嫌いの私にとって、誰かに見張られているのは良かったのかもしれない。




バンバン!!


「ちょっと待ってよ!今は寝てないよ!じっくり考えていただけじゃない!!」


時々、口論になることもあった。

勿論、一方的な口論だが(笑)






『誰と話してるの?』


突然扉が開き、母が入ってきた。


私は驚きのあまり椅子から落ちそうになった。


「ちょ、ちょっと~~!!驚かせないでよ!!ノックもしないなんて!!」

『ごめんごめん~話し声が聞こえたから。誰かと話しているのかと思ったの』


話していたことは、事実。

でも....こんなこと、母は信じないだろう。


「独り言を言ってただけ、気にしないで!」

『ごめんね。でも、最近ちゃんと勉強部屋で勉強するようになったじゃない。はじめは、窓から音がするとか何とか言って、2階に上がりたがらなかったのに』


ドキッ



「な、慣れたのよ。部屋にも、一人で勉強することにも…」

『そう、良かった。勉強頑張ってね』



母はそう言うと、階段を降りていった。





「一人じゃないけどね」



私は、ぽつりと呟いた。


「一人だったら、こんなに勉強はかどらないからね」




コツン




少し照れたような、小さな音が窓から響いた。


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