中学生の私と女の子。
縁側
この家で最も好きな場所、縁側(えんがわ)。


ドラマやアニメに出てくる縁側の風景に、
マンション住まいの私はずーっと憧れていた。


だから私は、この縁側が大好きだった。



晴れた日は、よく縁側に出て本を読んだ。

太陽は時折眩しすぎるが、それもまた気持ちいい。
庭にはガーデニング好きの父が、季節の花を植えていた。






その日は、

柔らかな日差しが心地よい、暖かな休日だった。


近所には子どもの住む家はなく、車もほぼ通らない。

とても静かな時間が流れていた。



私は本を片手に和室を通り、縁側へ向かった。


誰もいない縁側、癒しの縁側。
私は横になり、日向ぼっこをしながら本を読んでいた。







“ おばあちゃんが来るよ。迎えに行ってあげて "




「え?」


突然、女の子の声が頭に響いた。

そして次の瞬間、バス停が


脳裏に" 見えた "


「え……!?」




私は縁側に立ち上がり、周りを見渡した。


庭にも道路にも、誰もいない。


振り返って和室を見るが、誰もいない。





私は読んでいた本を畳に置き、玄関へ向かった。

台所では母が昼食の準備をしてる。
父は休日出勤でいない。
きょうだい2人は2階で遊んでいるようだ。




私は母のサンダルをつっかけ、玄関を出た。




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