花を君に
届け
親友を突然の事故で亡くした時…あなたはなんて願いますか?

浅倉 優姫【あさくら ゆき】(17)、バスケ部所属。開徳高校2年生。
私は、親友の皆山 陽菜【みなやま はるな】を突然の事故死で失ってしまった。同じ部活、同じクラス、そして幼馴染みとして、小さい頃からずっといっしょにいた。

なのに…部活から帰って、途中道で分かれた後、すぐに陽菜のお母さんから電話がきた。
「うちの陽菜、まだ帰ってきてないんだけど、ゆきちゃんのお家に行ってない?」と。私は心配になってすぐさま帰ってきた道を巻き返し、「分かりません!今すぐ探します!」と言い、陽菜が帰った道の方向に向かって走った。すると、向かい側が騒がしい。何があったのかと思い現場を見てみると…陽菜が約1tもあろうかと思われるトラックに轢かれていた。血まみれになっていて、まだ警察は到着していなかった。私は陽菜へ近づき、
「陽…陽菜ぁ!」と泣いた。だが、病院に運ばれる途中に、大量出血で亡くなってしまった。

陽菜がいなくなってから、私は一人になった。落ち込んでいても、何しても、1人。

「陽菜がいないなんて…私も死にたい…私は陽菜に会いたいよ…!!」
と言った。

その願いが…神様に届いてしまった。
ある日、胸のあたりが痛いと異変を感じ、病院に行った。すると────。

「心臓の病気です。直ちに入院しましょう」

…といわれてしまった。

今は咲き乱れた秋の紅葉が舞っている時期。病室にも、たくさんの葉っぱが落ちていた。私はとにかく植物が大好きで、紅葉を観察したり、花を育てたりするのが大好きだった。

だから、布団の中で紅葉をじっとみていた。花に触れる機会は、これから少なくなるのかも、と予想ついたから。

ガラッと扉の開く音。

「おーい。大丈夫か優姫。」
見慣れた顔。聞き慣れた声。私の幼なじみ、宮林 雄太【みやばやし ゆうた】。

「大丈夫じゃないよ…心臓の病気だよ?呑気な…」

「はい。お前花好きだろ?だから、さっき花屋で買ってきた。ガーベラと、マリーゴールド。あ!それ自分で育てるやつだからな!」

「あ、ありがとう。良く覚えてたね?」

「幼馴染みなのに忘れるわけねぇだろぶぁーか」

「調子のいいことを〜!」

久しぶりに笑ったと思う。陽菜。私はまだひとりじゃないって感じた。この先…病気と闘って頑張る。陽菜の分まで生きる。

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