片翼の運命

まだ遊んでいた頃、一度慧斗の家に招かれたことがある。他の友達もいて、何をして遊んだのかは全く思い出せないけれど、外国のような家だったことを思い出した。

あの頃よりは天井が近くなった。

「出かけてるの?」

「出かけてるというか、海外にいる。仕事」

「じゃあ一人で住んでるの?」

「うん。美衣ちゃんも一緒に住む?」

「え、ううん、住まない」

思わずそう返して、またしゅんとした顔をしているかもと窺ってみるけれど、にこにこしているだけだった。冗談のつもりだったらしい。

リビングに通されて、一番初めに目に入ったソファーの上に白いふわふわが丸まっていた。


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