片翼の運命
悲鳴を上げそうになったけれど、口を押さえる。そんなことをしたら、一生わたしが触れられる日は来ないだろう。
「名前。名前なんていうの?」
「あ、まだつけてなかった。なにが良いかな、白いから……コナとか?」
「コナって。粉から?」
「うん、コナ。起きて、美衣ちゃんが遊びに来てくれた」
慧斗が話しかけると、コナは徐に顔を上げた。
眠そうな表情で、こちらを見ている。
ひとつ大きく欠伸をして、伸びをした。
「可愛い……!」
「良かったな、コナ」
にゃあ、と欠伸ついでに返事をしたコナは、ソファーの上に座り直して毛づくろいをし始めた。わたしは床に正座してそれを見る。ずっと見ていられる……。