片翼の運命
嬉しくはない、もちろん。
なんて言うのかな、この気持ち。複雑だ。
「でも、言うよね、女の子はアレの日は可愛く……」
「アレ……え?」
「あ」
慧斗を見る。確かに、少し考えれば分かったこと。
血の匂いには、敏感。
唇をきゅっと結ぶ。
言いたいことは沢山ある。
「デリカシーのないことを言いました、ごめんなさい」
頭を垂れる姿を見て、わたしは歩き続けた。
後ろから追いかけてくる音がする。振り向いて、話す。
「考えてたことがあるんだけど」
「うん?」
「慧斗は、別にわたしじゃなくても良いんだよね。たまたまわたしが近くにいただけでしょう」