片翼の運命
怖いけれど、その隙間を閉じなければならないと思ってベッドから立ち上がる。
窓に近づくと、その隙間で何かがちらつく。雪かな。
そう考えれば怖さは吹っ飛び、カーテンを開けた。
「あ」
声が漏れた。視線がこちらを向く。まさか声が聞こえたはずもなく、明かりに気づいてこちらを見たんだろうと予想する。
隣の家の二階のベランダ。蝙蝠が何匹かパタパタと飛び交っている。
カーテンの隙間から見えたのはそれだった。
慧斗がわたしの姿に気づいて、少し考えた後に笑んで手をひらひら振った。
わたしも、反射的に手を振り返してしまう。