片翼の運命
何も言わないで彼に、一方的に言う。
「どうもありがとう、見つけてくれて」
本当のことを白状すると、仔猫の話を聞こうと思った。
でもそんなの吹っ飛んで、吹っ飛んだついでに思い出したのは、お礼に渡せと言われたクッキーの入った紙袋。ここまで連れてきておいてなんだけれど、がっつり教室の机に置いてきた。
自分の抜け加減に溜息を吐く。
「お礼のクッキー、机に引っ掛けたままだからあとで渡す。じゃあ、それだけです」
一礼して踵を返す。悲しいことに彼も同じ方向へ帰ることに気付いてしまった。
わたしは一体なにをしているのだろう。