片翼の運命

確かにそのことは覚えている。彼がわたしの擦りむいた膝の傷口を舐めた。そしてわたしは憤慨した。

だいきらいって。てゆーか、そんな言葉いちいち覚えていなくても……。

ぴたり、と思考が止まる。もしかして、もしかして今わたしが考えたことが合っていたら。

「ずっと、その言葉守ってた……とかじゃないでしょう?」

まさかね、と思う。

わたしの言葉を守って、わたしに近付かないで今まで生活してただなんて。わたしが言っていて恥ずかしい。なんて自意識過剰なことを。

「そうだけど?」

きょとんとする。逆に彼は「なに言ってんの?」と言いたげだ。


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