片翼の運命
顔が紅いままで、それを見られたくなくて、腕を引いた。でも、その拘束は容易には解けなかった。
「避けても良い」
彼の瞳に捉えられる。
「だから、今答えて欲しい」
逃げられないと思った。
この美しい瞳から、わたしは逃げられない。
「……い、いいよ」
だから、逃げ腰で答えた。
その瞬間、彼の翼が開いた。尤もそれは左右があったら正しい言葉だったかもしれない。
彼の場合は片方だけが広がった。
こんなに広がっているのを見るのは初めてだ。羽毛はなくて、日光が透き通って血管がわかる。立派な翼だ。