片翼の運命
それに見惚れていて、彼の表情は全く気にしていなかった。
「本当に?」
腕から変わって両手を掴まれる。嬉しそうに輝いているその顔を見て、苦笑いを返す。
「うん」
「そういえば美衣ちゃん、これ見えてるよね?」
久しぶりに名前を呼ばれてどきりとする。
これ、と示されたのは翼。
正直に答えるべきか迷って、結局頷いた。どちらを言ったからといって、わたしに何のメリットもない。
「誰かに言った?」
ばさ、と大きく動く翼。それから小さく畳まれた。
首を振る。誰かに言えるほど、わたしは自分に自信はない。
「なんで?」