大切なもの【完結】
「郁人ー俺、好きだわ」
ジュースを飲み干して顔を上げたかと思うとそんなことを言いだす。
「は?俺、そんな趣味ないんだけど」
「ばーか。俺だってねぇよ」
翔が俺の頭を叩く。
「じゃあ誰がだよ」
「彩香」
翔の口はたしかに彩香って動いた。
でも聞き間違えかもしれない。
いや、そうであって欲しかった。
「あ、やか?」
俺はやっとのことでそう口にする。
「そう、彩香」
聞き間違えではなかったらしく。
無情にも翔が〝好きな人〟と
名前を口にしたのは、彩香で。
俺が好きな人に違いがなかった。
「...ふーん」
心の動揺を気づかれないように
平静を装う。
ジュースを飲み干して顔を上げたかと思うとそんなことを言いだす。
「は?俺、そんな趣味ないんだけど」
「ばーか。俺だってねぇよ」
翔が俺の頭を叩く。
「じゃあ誰がだよ」
「彩香」
翔の口はたしかに彩香って動いた。
でも聞き間違えかもしれない。
いや、そうであって欲しかった。
「あ、やか?」
俺はやっとのことでそう口にする。
「そう、彩香」
聞き間違えではなかったらしく。
無情にも翔が〝好きな人〟と
名前を口にしたのは、彩香で。
俺が好きな人に違いがなかった。
「...ふーん」
心の動揺を気づかれないように
平静を装う。