大切なもの【完結】
「お待たせ!翔」



笑顔で俺の腕に自分の腕を絡める。



「かわいいじゃん」



今日の桜苗は浴衣を着ていて。
すっごい似合ってた。



「…ありがとう」



こうやってくっついてくるくせに
俺がこうして言えばすぐ顔を赤くする。
こういうところは可愛いなと思う。



「気合い入ってんな」


「翔とだから…」


「お、おう」



桜苗が照れてるから俺まで伝染してきてしまう。
こんなん調子狂うだろ。



そういえば彩香きたのかな。

俺は気になってスマホを確認する。
見つけたのかどうか気になる。



「どうしたの?スマホ気にして」


「さっき、郁人から電話きてさ」


「郁人?」



桜苗が首を傾げる。
その姿が可愛いなと思えてしまう。



「ん。なんか彩香が待ち合わせ場所にこないんだって」


「それを郁人が翔に?」


「うん」



桜苗の目がどんどん見開いていくような気がする。



「そんなの翔に電話するなんて無神経!」



自分のことのように声を荒らげる。

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