大切なもの【完結】
「なんで桜苗がそんな怒ってんだよ」



あまりに桜苗が怒ってくれるからさっきまで感じでいた虚しさとか全部どっか行ったきがする。



「翔が悲しむのは嫌なの」


「ありがとう。大丈夫だよ俺は」



自分のことをここまで考えてくれる人がいるってのも
ほんと悪くないんだな。
今まで追いかける恋ばかりしてきた俺に新しい感覚かもしれない。


思えば初恋から彩香にいたるまで何度か恋したし彼女もいたけど、どれも俺の方が好きだった。
で、必ず最後に言われる言葉がある。


〝友達としては好きなんだけど〟って。
だから、今回は俺が思われるのも悪くないんじゃないかって桜苗みて初めて思う。


まぁ、桜苗のこと好きになるかはわからないけど。



「翔がいいならいいけどさ。ほんと腹立つー」


「そんな怒んなよってなんで俺が言ってるんだよ」



自分たちのやり取りがおかしくてお互い顔を見合わせて笑う。

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