大切なもの【完結】
「待った」
向かう途中に先約が見えて俺は立ち止まる。
「またあいつらかよ」
なんで見たくないと思えば思うほど
見えてしまうものなんだろう。
「さすがにあそこにお邪魔はできないね」
「俺だって近くであのふたり見るのは辛い」
「じゃああっちの石段に行かない?」
桜苗が少し向こうにある石段を指す。
「うん。行こう」
俺の言葉に桜苗が歩きだす。
2人の姿を見て思い出したことがある。
あの丘は噂なんかじゃない。
彩香が言ってたところだ。
あーもう…─
なんで俺の頭の中って彩香のことでいっぱいなの。
こんなに俺を思ってくれてる桜苗のことでいっぱいになればいいのに。
そんな簡単に自分の気持ちだって変えることはできない。
「なんかごめんな。桜苗」
「なんで謝るの?」
「桜苗が好きって言ってくれてんのに俺、彩香ばかりじゃん。あの丘だって噂って言ってたけど考えてみれば彩香が言ってたから強く頭に残ってただけなんだ」
目の前に自分のことを好きなやつがいるのに
自分はあっちにいる他の人を見てるやつのことが大好きで。
人の思いなんてうまくいかねぇんだ。
向かう途中に先約が見えて俺は立ち止まる。
「またあいつらかよ」
なんで見たくないと思えば思うほど
見えてしまうものなんだろう。
「さすがにあそこにお邪魔はできないね」
「俺だって近くであのふたり見るのは辛い」
「じゃああっちの石段に行かない?」
桜苗が少し向こうにある石段を指す。
「うん。行こう」
俺の言葉に桜苗が歩きだす。
2人の姿を見て思い出したことがある。
あの丘は噂なんかじゃない。
彩香が言ってたところだ。
あーもう…─
なんで俺の頭の中って彩香のことでいっぱいなの。
こんなに俺を思ってくれてる桜苗のことでいっぱいになればいいのに。
そんな簡単に自分の気持ちだって変えることはできない。
「なんかごめんな。桜苗」
「なんで謝るの?」
「桜苗が好きって言ってくれてんのに俺、彩香ばかりじゃん。あの丘だって噂って言ってたけど考えてみれば彩香が言ってたから強く頭に残ってただけなんだ」
目の前に自分のことを好きなやつがいるのに
自分はあっちにいる他の人を見てるやつのことが大好きで。
人の思いなんてうまくいかねぇんだ。