大切なもの【完結】
「だって夢みたいなの。もう無理だろうなってずっと諦めてきたから」


「夢じゃねぇよ」



両手で桜苗の頬を包み込み、唇に軽く口付けをおとす。



「翔、好き」



桜苗の言葉が終わったと同時に花火が上がる。



「俺らのこと祝福してくれてる見てぇだな」


「ふふ。翔意外にロマンチスト」



嬉しそうに笑う桜苗の肩を抱き寄せる。



「俺、桜苗のこと大事にする。桜苗なら好きになれそうな気がするんだ。ごめんな好きだよって言えなくて」



嘘でもこういう時は言った方がいいのだろうか。
でも、嘘をついたって桜苗にはバレてしまう気がする。



「本当に好きになったときにその言葉は聞きたい」



ほら。
桜苗ならこう言うと思ってた。
俺も案外桜苗のこと見てきてるみたいだ。



「一緒に歩いてこ。桜苗」


「あたしが翔を幸せにするから」


「それ、俺が言いたいセリフ」



かっこよく言ってみせる桜苗にこいつには叶わないんだろうなって思う。


俺がこいつのことを離したくないって思う日は
きっとすぐそこに。


思われてるのも悪くない……──


-好きになってくくれる人 Fin-

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