大切なもの【完結】
「いたいた!」



ガラッとカーテンが開いたと思ったら香が立っていた。



「香?」


「なにやってんの!授業も出ないで」


「お前も授業…」


「はぁ?いま休み時間だけど?」



いつの間にか一時間目が終わっていたらしい。



「チャイムも聞こえないほど考えてたのか」



俺もなかなか重症だななんて考えたりする。



「戻らないの?授業」


「あいつら見てらんねぇよ」



俺はまた布団に潜る。



「こら!それはあたしも同じ!」



かけた布団をもぎ取られる。



「なんでそんな元気なんだよ…」



香は誰がみてもわかるくらいに郁人が好きで。
だからもっと落ち込んでると思ってた。
俺が弱すぎるだけなのだろうか。



「落ち込んでたら郁人に心配かけるじゃん」


「そっか…」



まぁ、俺も落ち込んでるとこを見せたくなくてここにきてるこら。
理由は同じなのかもしれない。

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