大切なもの【完結】
「余り物同士なんてのもいんじゃない?」



急に俺の手をとる。



「いやいや待てよ!ありえねぇだろ!」



こいつだって俺のことこれっぽっちも好きじゃないだろ。
俺だっていままでずーっと長いこと桜苗を好きだったんだ。
香のこと女としてみたことないよ。



「そうかなぁー?ここから始まるのも悪くないとおもうんだけど?」



首を傾げて俺を見る香は可愛くて一瞬そんな始まりもアリかもしれないなんて思わせられる。



「いや、俺さっきまで桜苗しか見てこなかったから。別の人とかないから」



自分に芽生えた邪な考えを振り払って答える。



「気が変わったら言ってくれていいよ」



香自身はなぜか知らんがノリ気らしい。



「なんでそんなノリ気なんだよ」


「んー?まぁ、そのうちきっとその気になるよ」



香はどこか自信があるようだ。



「お前いつからそんな自分に自信が…」


「バカそんなんじゃないし!ほら行くよ!」



俺をベッドから起きあがらせる。

まぁ、もしかしたらほんとにそうなるのかもしれないななんて考えながら香について行く。

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