大切なもの【完結】
「1人の昼ってつまんねぇな」



先週まではみんなでバカ騒ぎしてた。
昼も放課後も
人って1度慣れてしまうと元には戻せない。
中学までは1人の昼も放課後も当たり前のことだったのに。
人いることの楽しさを覚えてしまうと寂しく思ってしまう。



「明日から普通に…」



そんなことできるんだろうか。
俺が桜苗のことを吹っ切れない限りそんなのは無理ではないだろうか。
そもそも俺が桜苗のことを吹っ切ることなんてできるんだろうか。



「つーばさ!」



中庭の椅子に寝っ転がっているとバタバタと足音と俺を呼ぶが聞こえる。



「香…」


「ほら、これ」



俺の手にパックのマミーを乗せる。



「これ?」


「翼、これ好きでしょ?」


「なんでそれ…」



子供のころからマミーがすきで。
でもなんとなく恥ずかしくて人にはあまり言ってないのに。



「だってよく選んでるじゃん」


「あまり気づかれないようにしてたのに」



香は意外にまわりのことを見ているのかもしれない。

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