大切なもの【完結】
「ありがとね翼」



そう笑顔を見せて、屋上からいなくなった。



「はー。終わったか」



どうやら俺の小学生からの恋はついに終わりをむかえたらしい。



「でも、よかったかも」



あの頃、桜苗が俺のこと好きだったなんて。
俺が初恋だったなんて。
一番嬉しい答えだよ。



俺が、小学生の頃にチャンスを活かしていれば
違う未来があったのかと思うと悔しく思うけどそんなのはたらればでしかないし。



「すげぇ好きだったなぁ」



屋上にゴロンと寝転ぶ。



目を閉じると浮かんでくるのはもちろん桜苗の顔。
でもまた桜苗とは別の顔も浮かぶ。

なにかと付き合おうとする香の顔。


考えてもいいのだろうか。
香との未来を。



「香、か…」



香は本当に郁人のことが好きで。
でも、俺になんであんなに付き合おうと言ってくるのだろうか。
寂しさからなのだろうか。


まぁ、俺らだけが付き合ってないってのも変な感じだしな。

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