大切なもの【完結】
「会ってはいるけどさぁー」



道端に落ちてる石ころを蹴飛ばす。



「なんだよ。順調なんだろ?」


「順調は順調だよ」



昔から彩香のことを知ってる悠貴には恥ずかしくて彩香のことを好きだってことも言ったことなかった。



「まさか彩香と郁人が付き合うとはなー。ほら入るぞ」



ドアを開けて家の中に入っていく。



「そんな意外?」



悠貴の後について俺も靴を脱いで家の中に入る。



「意外ってか、お前が彩香のこと好きなんて聞いたことなかったし」


「あー。それな。恥ずかしくて言えなかっただけだよ」



俺の気持ちなんて誰にも言ってなかったんだよな。
あいつら仲間たちには勝手に知られてたけど。
悠貴とは彩香と一緒にいるところを見られたことが無かったから気づかれてなかったんだよな。



「彩香が郁人のこと好きなのは知ってたけどな」


「え!?」



突然の悠貴の発言に持っていたカバンを落としそうになる。

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