大切なもの【完結】
「...告白すんの?」

「そのうちな」

「がんばれよ」


とか言いながら
その日なんてずっと来なきゃいいのに。
そう思ってた。

それなら俺は
思ってることは許される。

でも翔のものになったら
思うことすら罪悪感になる気がするんだ。

もっとも翔に嘘をついたいまも
罪悪感でたくさんなんだけど。


「他に彩香のこと好きなやつがいないといいな」


翔がはぁってため息をつく。


「まだそんな心配してんのかよ」

「だってやっぱり壊したくないし」

「そんな心配より彩香に好きになってもらうほうが先だろ」


俺は翔の肩をぽんっと叩く。


「...たしかに。こんな心配しても振られたらもっと壊れるかもしれないんだ」


テーブルに顔を埋める。


「まぁ、なるようになるから」


俺もお前もな。

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