大切なもの【完結】
「なぁ、あれ誰?」



彩香のバイト先の前についたとき翔が俺に聞いてくる?



「ん?」


「彩香のエプロンの紐…」


「っ…」



目の当たりにした光景は前回見た時よりも辛くて。
俺はやっぱり彼氏じゃないんじゃないかなって思ったしまう。


彩香のエプロンの紐を後ろで四宮が結んでいた。



「ココ最近会ったばかりのバイト仲間にしては仲いいな?」



翼もなんのとなく2人の様子で感じ取ったようだ。
最近知り合ったばかりじゃないってことを。



「中学一緒だった」


「へー。一緒ねぇ」


「たぶんそいつの家だよ。ここ」



彩香から聞いたわけでもないし、誰かに確かめたわけでもない。
でも、看板を見るにやっぱりそうとしか思えない。



「あいつ、彩香のこと好き?」



翔が地面の石ころを蹴飛ばしながら言う。



「よくわかったな」


「なんとなーく。雰囲気がね」



翔はそういうところを読み取るのがやっぱり上手い。

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