大切なもの【完結】
「久しぶりにこうして歩いてるな」


「…うん」



彩香が俺と繋いでる手を見つめる。



「どした?手、繋ぐの嫌だ?」


「ううん。本当はずっと触れたかったから」


「…んだよ。それ。可愛いこと言うなよ」



彩香を自分の腕の中へ引き寄せる。



「俺さ、寂しかった。彩香と学校以外で会えなくて」


「ごめんね、バイト…」


「わかってる。明日のためだろ?」



彩香が俺のために頑張ってるのは嬉しかった。
でも、やっぱり俺は何かをもらうことよりも彩香と一緒にいる時間が大切だなっておもう。



「どうしても郁人にあげたいものがあって。それは明日まで内緒なんだけど」


「明日、楽しみにしてるよ。つーかどうやって渡すつもりだったの?俺、明日誘われてもいないけど?」



いつ誘われるのかなーってずっと考えてたけど
なかなか誘ってこないから違ったのかもとか考えてた。



「あ!忘れてた」



そんはことを言い出す彼女を心底愛おしいと思う。

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