大切なもの【完結】
「うん。その日に実は見に行ったんだ」


「…そうだったんだ」


「ごめんな。コソコソして」



今考えたら、ちゃんと彩香に言うべきだったとおもう。
バイト先に行ったことを隠したってなんの利点にもならない。



「ううん、あたしがちゃんと隠せたらよかったんだけど」


「あんなにいままで一緒に帰ってた放課後に会えなくなったら誰でも怪しく思うぞ」



別に信じていなかったわけじゃない。
でも、さすがに気になるだろ。



「だよね。どうしてもサプライズにしたくて…なってないけど」


「ははっ。彩香は素直だからうまく隠せないんだよ」


「明日、楽しみにしててね?」


「あぁ。彩香がくれるものならなんでも嬉しいけどね。俺」



多分、たとえそれが100均の商品であっても彩香がくれたなら喜ぶと思う。値段じゃなくて、彩香が選んでくれたってことが嬉しいんだ。



「きっとよろこんでくれるはず」



彩香が言うから明日は楽しみにしてみようかな。なんて思う。

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