大切なもの【完結】
「それ、郁人に?」



あたしが手に持ってるものを指す。



「明日、誕生日だからね」


「バイトは?」


「え、知ってたの?」



郁人だけじゃなく翔も知ってたことにびっくりする。



「あれ、郁人まだ知らないことになってる?」


「ううん。郁人にはさっき会ったから」


「俺ら全員知ってるからな」



持っていた袋で頭をポンっと叩かれる。



「みんな知ってたの!?」


「おお、最近ずっと郁人機嫌悪かったぞ」


「…そうなんだ」



郁人のプレゼントを買うためとはいえ、バイト詰め込みすぎたかな。



「あんま不安にさせんなよ」


「…うん」



自分のことを好きだと以前言ってくれた人にこうして言われるのはなんだか変な感じがする。



「彩香のこと好きだったやつとバイトだったんだろ?」


「…うん」


「彩香のこと好きだった俺がいうのもあれだけど、郁人にはそれはキツイから気をつけろ」



翔の言葉に心の中に反省が募る。

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