大切なもの【完結】
「そっか。よかった」


「もう!不安になりすぎー」



あたしの鼻をつまむ。



「郁人くんは彩香のこと好きなんだから。好きな子が自分のためにやってくれたことを嫌がるわけないでしょ。郁人くんはそんな子じゃないでしょ?」



そうか。
郁人がそんな嫌がるわけなんてないんだ。
あたしが好きになった郁人はとても優しい心の持ち主。



「ありがとう。お姉ちゃん」


「あとはメイクだね。お、お肌つるつる」



あたしの頬に手を触れる。



「昨日お姉ちゃんにもらったパックしたからね」


「あれ、すっごいんだよー。やっぱりいつもも彩香は肌がキレイだけど、さらに化粧ノリよさそう」



ウキウキした感じで自分のメイク道具を広げる。



「ありがとう」



昨日の夜寝る前にお姉ちゃんにもらったフェイスパックをして寝たんだ。
起きてすぐにわかったよ。いつもと違うって。

郁人にキレイな状態で会いたい。
これは女の子なら誰もが思うことだから。

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