大切なもの【完結】
「郁人?」


「ん、あぁ。なんかふたりきりって緊張すんね」



頭をガシガシって掻く。



「え?緊張?」


「なんか今日の彩香いつもより更にかわいい。。いつもも可愛いけど」


「なっ…何言ってるの!ほら、入って」



あたしの部屋に郁人を押押し込む。

郁人に言われた言葉に心臓がバクバク。
もう、もたないよ。バカ。



「恥ずかしがってるの?」



さっきまで〝緊張する〟とか言ってたのはどこに行ったのか。はたまた嘘だったのか。
あたしの顔を覗き込むその顔は、緊張なんてとてもしてるようには見えない。



「もうっ!郁人が急に変な事言うからじゃん!」


「変なこと?俺は思ったことを言っただけだよ」



なんてにっこり笑ってあたしの頭を無でる。



「もう、いいからご飯食べようよ」


「すごいね、これ。全然彩香が?」


「うん!どうしても作りたくて。おいしくなかったらごめんね」



なんか気合い入りすぎちゃって空回りしてないか不安になる。

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