大切なもの【完結】
「全部おいしそう!めっちゃ嬉しいよ!ありがとう」



郁人が見せてくれた笑顔にホッとする。



「飾り付けもしてくれたんだね」



部屋をぐるぐると見渡す。



「うん。なんか子供ぽくなっちゃってごめん」


「ううん。嬉しいよ」


「よかった。ほら、座って、食べよ」



郁人をテーブルの前に座らせる。

あたしも郁人の向かいに座って。



「いただきます」



ふたりで手を合わせて食べ始める。



「ん。うまっ」


「ほんと?よかった」



郁人の言葉一つであたしの心が暖かくなる。
郁人の言葉って本当に魔法みたいだ。
不思議だよね、好きな人の言葉って。



「飾り付けとかもそうだけど、子供が喜びそうだよね」


「こ、子供!?」



なんかあたし達のあいだの子供の話をしてるようで顔が赤くなる。



「なしたの?」



郁人はキョトンとしてる。

どうやらあたしの勘違いだったようだ。
紛らわしいよ、もう。

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