大切なもの【完結】
「うまかったー!」


「たくさん食べたね」


「おいしかったからね」



お腹いっぱいそうにお腹をさする。

ケーキはもう少ししてからかな。
いま食べたらお腹破裂しちゃうじゃないかってくらい、郁人はたくさん食べてくれた。
たくさん食べてくれる郁人にまた嬉しさがこみ上げた。



「ね、アルバム見てもいい?」



あたしの本棚にある小さい頃のアルバムを指す。



「いいけど、見てもいいことないよ?」


「見たい」



郁人の言葉に立ち上がって、本棚に取りに行く。



「俺、中学の彩香からしか知らないからさ」


「あたしもだよ。だから今度は郁人の見せてよ」


アルバムを持って立っているあたしの隣に郁人も立ち上がってやってくる。



「分かったから、見せて?」


「…うん」



ふたりで近くにあったベッドに座ってアルバムを開いていく。



「めっちゃ悠貴いるし」



初めのページから登場している悠貴に苦笑い。

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