大切なもの【完結】
「そんなの、郁人ならって言ってるじゃん」



顔を赤くしながらもこう言ってくれる彩香が心底愛おしいと思う。



「ありがとう。彩香。ケーキ食べたい」



食べ損ねるところだったケーキを彩香にねだる。
彩香の手作りのお菓子をもらってる四宮が心底羨ましかった。
俺もそれを食べれる。



「ふふ。今持っていくから先に部屋に行ってて?」


「わかった」



彩香はキッチンへ、俺は階段を登って彩香の部屋へと歩く。



「1人でこの部屋にいるってなんか変な感じだな」



彩香がいつも暮らしてるこの部屋で。
俺がいま1人でこのベッドにすわっている。
さっきこのベッドの上で行われそうになったことに考えを移せば自然と…あぁ、もう考えないようにしたいのに俺も健全な男だから。



「ま、まずはケーキ、ケーキ」



いくら自制がきかないたって、すぐになんてのは俺だって嫌だし出来ればお互いの意識が合わさったときにって思う。
お互いの愛が溢れるその時になんてキザなセリフかもしれないけど、俺だけが高まってってのは嫌なんだ。

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