大切なもの【完結】
「はい、たべよ」



皿にケーキを乗せて、俺が座ってるベッドの隣にやってくる。



「ありがとう」



完全に俺座るとこ間違えたと思う。
なんで彩香がきてからもこのベッドに座っていたんだろう。
ベッドに彩香いるとさっき触れてしまった彩香の体を思い出してしまうから。

一度触れてしまうともう元には戻れない感情を感じる。



「おいしいな」



それでも我慢に我慢を重ねて、俺はケーキを口に運ぶ。

でも、本当に口に入れた瞬間美味しさが口の中に広がって、それはそれは美味しかった。



「ほんと?よかった」



彩香も本当に嬉しそうに笑うから、戻ってきてこうして食べれてよかったって思う。
あのまま俺が逃げていたら確実にこのケーキもこの瞬間の彩香の笑顔も見れなかったんだから。



「あ、そうだ。これ」



彩香が机の上から一つの包み紙をとって俺に渡す。



「…プレゼント?」


「うん」



彩香の用意してくれたプレゼント。
頑張ってバイトしてまでしてくれたプレゼント。
その全てがもう愛おしくて。

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