大切なもの【完結】
ドッジボールなんて
1番簡単な球技を選んだ。
スポーツが苦手だから。


「彩香ちゃんよろしくね!」


名前も忘れたような子が話しかけてくる。


「よろしく」


とだけ答えた。


「勝てるかなー」

「とりあえず逃げる」


そんな他愛もない話をしていると笛がなった。

集合の合図。


とりあえず逃げるか。
それか逆にとっとと当たって出てしまうか。

そんなことしか考えてなかった。


あたしは頑張るという考えを
簡単に捨てた。


当たろうって考えた。


そのほうが楽だよね。
出てた方が圧倒的に。
走るのも嫌いだし。

こんな怠け者な考え誰にも知られたくない。


特に郁人には
なんてこんなときも考えるのは郁人のこと。


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