大切なもの【完結】
「痛っ」


あたしはその言葉を発したと同時に
当たったんだって理解した。


痛い足を引きずりながらコートの外にでる。


ちょっと痛すぎるかもしれない。
足首がズキンズキンって痛むんだ。


「ちょっといいですか?」


翔の声。


「え?」


審判の声を無視してあたしのとこに歩いくる。


「翔?」

「足」

「足?」

「痛いんだろ?」

「そりゃ当たったから」

「ただの痛みじゃないだろ!」


翔が言った瞬間あたしの体が宙に浮く。


「か、翔!?」

「こいつ、あたりどころ悪かったんで保健室つれていきます」


審判の先生にそう言い残してそのまま歩き出す。


あたしをお姫様抱っこしたまま。

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