大切なもの【完結】
「翔、恥ずかしいからおろして!」


あたしはバタバタ動く。


「じっとしとけ」


翔はそう言い放つとそのまま歩く。


「歩けるのに...」

「普通に当たっただけじゃないんだ。気づいてない?」

「なにが?」

「当たったときに足ひねったんだよ」

「え」


自分でも全然気づいてなかった。


「よく気づいたね。翔すごい」


あたしでもわからないことがわかるなんて。
こいつは医者か?ってほんとに思った。


「医師とかじゃないからね」


あたしの顔をみてそういう。


「あたし何も言ってない...」


心の声が読めるなんて
まるで...


「エスパーでもないからね」


今度は考えるよりも先に言われた。

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