大切なもの【完結】

友達の涙─Ikuto

「郁人、彩香が怪我したらしいよ!」


翼が俺のところに走ってくる。


「え?彩香は?」

「保健室行ったって聞いた」

「なんで怪我?」

「詳しくはわかんないけど、ドッヂボールでらしい」

「わかった。ありがとう」


俺は翼に礼を言って走り出す。


彩香が怪我したなんて。
ドッヂボールに確かに出てたけど、途中から俺は先生に雑用押し付けられてたから。

ほんとに最初のほうしか見えなかった。


ポケットでスマホが震える。


チッと思いながらも一応確認。


翼からのLINEだった。


〝翔が運んでったらしい〟


そう書いていた。


...翔。
応援するなんて言ったのに。

そんな言葉は気休めでしかなくて。

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