大切なもの【完結】
「サッカー行くか」


俺は彩香を腕の中から解放する。


「...うん」


少し顔を赤くした彩香がいた。


俺も絶対顔赤い。


「彩香」

「ん?」

「明日の休みさ、お祭りいかね?」

「あー地元の?」


明日は俺らの地元のお祭りだった。


「そう。今年誰とも約束してないならだけど」

「してないよ。いいよ。いこう」


彩香がふわって笑う。
俺の好きな笑顔で。


「よかった」


たぶん。
俺のきもちはもうバレてるかな。

明日言う。
明日のお祭りで言うんだ。

でも、その前に。
言わなきゃいけないかなって思う。

翔とは別の
好きじゃないって嘘をついた子に。

あとあと聞いたらいやだろうし。

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