大切なもの【完結】
「郁人と方向同じなのに全然朝に一緒にならないよね」


あたしは郁人を見る。


「あー、たしかに」

「こんど一緒になったらいいね」

「そうだな」


ふわっとした笑顔で郁人が笑う。


仲良しグループでいれば
こうして笑顔を向けてもらえるの。
それだけで充分なの。


「てかさーもう少しで体育祭だよな」


翔が嬉しそうに言う。


「めっちゃ嬉しそうだな。翔」

「俺絶対活躍できるもーん」


翔はサッカー部だから。
運動神経いいんだよね。


「かっこいいとこ見せてやるよ」


なんてあたしの頭を叩く。


「かっこよかったらなんかおごってあげるよ」


あたしは笑いながらそう言う。

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