大切なもの【完結】
「あたしさっきみたんだ」
香が口を開く。
「なにを?」
桜苗が首をかしげる。
「彩香とあたしの好きな人が抱き合ってるとこ」
香があたしの顔をのぞき込む。
「どう?みんなの好きな人に手を出す気分」
香がニコって笑いかける。
笑っていない目で。
「...そんなんじゃ」
「なくないよね?」
あたしの言葉の続きを桜苗が言う。
「...そんなつもりはない」
あたしの声はもう小さくて。
2人に届いたかどうかわからないぐらい小さくて。
「翔が彩香のこと好きなんてずっと知ってたけど」
「郁人が彩香のこと好きなんてずっと知ってたけど」
ふたり揃って言う。
「…ふたりとも」
あたしはもう仲良くできないの?
香が口を開く。
「なにを?」
桜苗が首をかしげる。
「彩香とあたしの好きな人が抱き合ってるとこ」
香があたしの顔をのぞき込む。
「どう?みんなの好きな人に手を出す気分」
香がニコって笑いかける。
笑っていない目で。
「...そんなんじゃ」
「なくないよね?」
あたしの言葉の続きを桜苗が言う。
「...そんなつもりはない」
あたしの声はもう小さくて。
2人に届いたかどうかわからないぐらい小さくて。
「翔が彩香のこと好きなんてずっと知ってたけど」
「郁人が彩香のこと好きなんてずっと知ってたけど」
ふたり揃って言う。
「…ふたりとも」
あたしはもう仲良くできないの?