大切なもの【完結】
【Ayaka Side】



「郁人…どこだろ」



息を切らしながら当たりを見渡すけど郁人の姿が見えない。


呆れて帰ってしまったのかもしれない。
もう待ち合わせから45分もたってるし。
帰ってしまっても当然だ。



とりあえず近くにあったベンチに腰をかける。



「キミひとりなのー?」



ニヤついた顔の金髪の男の人があたしの前に立つ。



「待ち合わせ…です」


「ふーん?でもこないんだよね?」


「そんなんじゃないです」



何この人、ずっとニヤニヤしててなんだか怖い。



「こないなら放っといて俺と遊ぼうよー」



隣にすわって手を触ってくる。



「他を当たってください…」



触られた手を外そうとするけど力が強くて叶わない。

触られたところが気持ち悪い。




「俺の彼女になにか?」



後ろからふわっと抱きしめられたと同時に大好きな郁人の香り。


< 86 / 209 >

この作品をシェア

pagetop