大切なもの【完結】
【Ayaka Side】


「そろそろ花火だから行こう?」



郁人があたしの手を握る。



「うん!」



花火を好きな人と見るなんて。
どれだけ夢に見た光景だろう。
ずっとふたりでみたいと思ってたものやりたいと思ってたことが〝彼氏〟という存在になったらできるようになるんだ。
つい昨日まではなかったものなのに
たった1日で変わってしまうってすごいことだ。



「そういえば言ってなかったね」



突然郁人が顔を見てくるから恥ずかしくなってくる。



「なに?」


「浴衣も髪の毛もかわいい」



サイドから出ている髪の毛に指を絡ませる。
その姿が妙に色っぽくて心臓がうるさく止まらない。


…なにこれ。
こんな止まらないもんなの?



「あ、りがとう…」


「お母さんにやってもらったの?」


「…うん」



目が合うとにっこり笑ってくれて
なんだかほんとにいままでの郁人とは違う人みたいで。
彼氏ってこういうものなのかって思う。

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