大切なもの【完結】
「あ、花火」



郁人の声と同時にドーンッと花火があがる。



「綺麗…」


「彩香も綺麗」



郁人の言葉に横を見れば、あたしをじーっと見ていた。



「上、見なよ」


「やだ。彩香を見ていたい」


「なっ…」



かぁーっと顔が熱くなっていく。



「赤くなった顔も可愛いよ」



あたしの頬に触れて今度は顔が近づいてくる。



「あっ…」



声を発した時にはもう唇が奪われていた。


郁人ってなんでこんなに慣れてるのだろうか。
あたしなんて手を繋ぐだけでも顔が赤くなってしまうのに。



「彩香、好き」



息継ぎの合間にそう呟いてまた唇を角度を変えて吸いつかれる。


花火の音をバックに何度も何度も口付けを交わしていた。



「花火全然見てない…」


「ごめん、彩香可愛すぎて止まんなかった」


「ううん」



郁人の唇から目が離せなくて
郁人の唇に溺れてしまいそうだった。

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