大切なもの【完結】
「あっという間だったね…」



花火が終わって辺りが静かになる。



「てか、ここ全然人来ないのな」


「うん。穴場でしょ」


「キスも出来るしね」



あたしにまた口付けをする。



「もうっキス魔?」


「好きな子にはたくさんしたいの」



郁人が立ち上がってあたしの手を握る。



「行こう」


「うん」



初めてのデートは甘々で。
本当にいままでのあたしたちからは想像できないものだった。



「あたしちゃんとできてた?」


「なにが?」


「キス…とか」



恥ずかしくて、うまく言葉にできなくなる。



「やば。なんでそんな可愛いの」



あたしから目を逸らす。



「郁人?」


「俺いまマジでやばいから。顔」



隠す郁人の顔を覗きこむ。



「わぁ」



郁人の顔は見たことのないほどゆでだこになってて。



「やめろよ。恥ずかしい」



あたしから更に目を逸らそうとする。


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