大切なもの【完結】
好きになってくれる人 かける×さなえ

好かれるのも悪くない

「やっとくっついたか…」



自分でかき乱したくせに。
〝やっと〟とか言ってしまう俺はどうしょもない。



「翔、大丈夫?」


「あー…うん」



心配そうに俺を見つめる桜苗になんて言ったらいいか分からなくなる。



「遠慮しなくていいんだよ?」


「ごめん…」



こいつは俺のことが好きだと言う。
俺は、そういう目で見たことがなかった。



「なんで謝るの?」


「いや…だって」


「勝手にあたしが好きになっただけだし、あたしのこと好きになってなんて言わないから今まで通り仲良くしてほしいの」



涙目になりながら早口で言う桜苗にどうしたらいいかわからなくなる。



「…桜苗」


「ん?」


「明日空いてる?」



思えばなんでこの時こう言ったのかわからない。
横目に見えたお祭りのポスター。



「明日?」


「これ、行こうか」



横に貼ってあるポスターを指さす。

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