寄生虫
真尋の声は徐々に小さくなり、最後に消えてしまいそうだった。


「そんなにも必死で練習してたの?」


『うん。病院に行った時に休憩くらい挟まなきゃダメだよって言ったら『うっかり時間を忘れてた』って、笑いながら言うの。もう少しで命にかかわる所だったのに、全然気にしてない感じだった』


さすがに、そこまで必死で練習するのはおかしい。


京介と2人ならともかく、克哉1人でしかも設備が整っていない公園での練習なんて、克哉の性格からすれば嫌がる方がしっくりくる。


「克哉、やっぱり何かあったのかな?」


そう言うと、真尋は電話口で黙り込んでしまった。


「他に彼女が……っていう意味じゃないよ? 女の子の存在だけじゃそこまで練習にこだわるとは思えない」


『そうだよね……』


「うん。もっと克哉に大きな影響を与える何かがあったんだよ」


『あたしも、そう思う』
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