寄生虫
☆☆☆

それからあたしたちはジュースやお菓子を買って真尋の家へと向かった。


真尋の家にお邪魔するのは久しぶりで、あたしは懐かしい香りを思いっきり吸いこんだ。


小さな赤い屋根の一戸建ての家は、童話などに出てきそうな可愛らしさがあった。


真尋の部屋は二階にあり、白色とブルーで統一された綺麗な部屋だった。


「相変わらず整った部屋だね」


白いテーブルの前に座ってあたしは部屋を見回した。


最後に真尋の部屋を訪れたのは半年ほど前だけれど、その頃からずっと綺麗なままだ。


「そうかな?」


真尋はテーブルにお菓子とジュースを並べながら首を傾げた。


「余分なものを置かないから、サッパリして見えるだけだよ」


「あたしの部屋は余分なものが多いってことだね」


そう言うと、真尋はおかしそうに笑った。


真尋があたしの家を訪れたのも半年前が最後くらいになる。


その時は部屋が丁度乱雑な状態で、真尋はクマのぬいぐるみをみつめて「こんなもの、何に使うの?」


と、言って来たのだ。


クマのぬいぐるみを何に使うのか。


そんな事考えもしなかったあたしは返答に困ってしまった事を覚えている。
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