寄生虫
「ぬいぐるみは可愛いから飾っておく。今なら納得できるよ」
お菓子をつまみながら真尋は言った。
「そう? 見たところぬいぐるみはないみたいだけど?」
「ぬいぐるみはないけど……これとか」
そう言って、真尋は本棚からサッカー漫画を一冊取り出した。
紙の色が変色していて随分古いということがわかった。
「なにこれ」
手にとって中身を読んでみても、ただの少年漫画のように見える。
特別変わった所はない。
「克哉と付き合い始める前に、克哉から貰ったの」
「そうなんだ!?」
「うん。いつも克哉の事を見に行ってたからサッカーに興味があるのか? って話かけられて、思わず『うん』って答えちゃったんだよね。そしたら克哉、カバンからこの漫画を取り出してあたしにくれたの」
そんなエピソードを聞くのは初めてで、あたしは目を丸くした。
「その時からこの漫画は色褪せてて、何度も何度も読み直したあとがあったの。この人、本当にサッカーが好きなんだなぁって、その時改めて思った」
懐かしそうに目を細める真尋に、なんだかあたしまで懐かしい気持ちになった。
きっとその頃からあたしと真尋は仲良しで、真尋は克哉を。
あたしは京介を見ていたんだ。
お菓子をつまみながら真尋は言った。
「そう? 見たところぬいぐるみはないみたいだけど?」
「ぬいぐるみはないけど……これとか」
そう言って、真尋は本棚からサッカー漫画を一冊取り出した。
紙の色が変色していて随分古いということがわかった。
「なにこれ」
手にとって中身を読んでみても、ただの少年漫画のように見える。
特別変わった所はない。
「克哉と付き合い始める前に、克哉から貰ったの」
「そうなんだ!?」
「うん。いつも克哉の事を見に行ってたからサッカーに興味があるのか? って話かけられて、思わず『うん』って答えちゃったんだよね。そしたら克哉、カバンからこの漫画を取り出してあたしにくれたの」
そんなエピソードを聞くのは初めてで、あたしは目を丸くした。
「その時からこの漫画は色褪せてて、何度も何度も読み直したあとがあったの。この人、本当にサッカーが好きなんだなぁって、その時改めて思った」
懐かしそうに目を細める真尋に、なんだかあたしまで懐かしい気持ちになった。
きっとその頃からあたしと真尋は仲良しで、真尋は克哉を。
あたしは京介を見ていたんだ。